名演から学ぶ、ジャズアドリブ研究

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”Just Friends”  コードとスケール分析

ジャムセッションの定番曲ですね。この曲の名演は数多いですが、ギター弾きにとってはやはり巨匠パット・マルティーノのデビュー作「El Hombre」収録の演奏が真っ先に浮かびます。

 

        

 

白状しますが、昔これを耳コピしようとしてテーマ部分で挫折した思い出があります(>_<)

 

私は個人的にこの曲の構造を理解し、ある程度自由にアドリブが取れれば、ひとまず初心者の域は脱したといえる、そんな試金石のような曲であると思っています。

 

余談ですが、この「Just friends」の作曲者ジョン・クレナーはチャーリー・パーカーと同じ年の1955年に亡くなっています。なので死後60年経った現在は著作権フリーとなっていますね。

 

こと音楽関係のブログで著作権の問題は悩まされる所ですが、この曲に関しては心配無用です^^。それでは分析してみましょう。 

 

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この曲のキーはFメジャーですが出だしのコードはB♭M7。ですのでこれはⅠ度のトニックコードではなく、Ⅳ度のサブドミナントコードですね。

 

なのでここでのスケールはB♭リディアン、つまりFメジャースケールという事になります。B♭メジャースケールではありませんので間違えないように。

 

3,4小節は置いておき、5,6小節のFM7に注目。トニックコードには代理和音が2つ存在します。

       

   FM7(ⅠM7)Am7(Ⅲm7)=Dm7(Ⅵm7)

 

この中でⅢ度のAm7を5小節目のFM7の代わりに置き変え、6小節目にD7を置いてⅡⅤ進行を作ります。

 

こうすると3小節目のB♭m7から10小節目のC7まで、ⅡⅤ進行が半音ずつ下降していく形になります。

 

    B♭m7 | E♭7 | FM7  | 〃  |

    A♭m7 | D♭7 | Gm7  | C7 |

               ↓

    B♭m7 | E♭7 | Am7  | D7  |

     A♭m7 | D♭7 | Gm7  | C7 |

 

そして9,10小節の Gm7  | C7  はFM7ではなく、もう一つのトニック代理である12小節目のDm7に解決しています。さらにDm7の直前に Em7-5 A7 のⅡⅤを置いて、よりⅥ度Dm7への進行感、解決感を強めています。

 

ちなみに9、10小節はトニックの代理和音へ向かっているので、これは偽終止(ディセプティブケーデンス)というやつですね。

 

これはリハーモナイズの一例ですが、この進行がもっともアドリブの取りやすい進行だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音楽理論講座(15)~ジャズの基本にして究極 ⅡⅤ進行~

前回お話したように、ドミナントモーションはⅤ7(D)がⅠM(T)に進行すると

 

  • V7のコード構成音である3度と7度のトライトーン音程が、ⅠMのコード構成音である1度と3度に半音で進行する 

         ⇒トライトーンの解決 

  • Ⅴ7のルート音がⅠMのルート音に5度下降(=4度上行)する

         ⇒5度進行(強進行)

 

という2つの要素によって成立するというものでしたね。しかしジャズではこのⅤ7→ⅠMという進行の前にサブドミナントに属するⅡm7を置くことが半ば常識になっています。

 

Ⅱm7はサブドミナントコード(SD)であるⅣMの代理コードです。これがなぜⅤ7の前に来るのか?Cメジャーキーで説明すると、これはDm7(Ⅱ)→G7(Ⅴ)という進行のルート音が5度進行になっているからで、同じSDのFM7(Ⅳ)→G7(Ⅴ)だと5度進行が成立しないからです。

 

同様の理由でDの代理コードであるBΦ7(ⅦΦ7)が使われないのも、サブドミナントコードからの5度進行が成立しないからというわけですね。

 

付け加えると、SDコードにはダイアトニックスケール上のⅣ音(CメジャーキーではF)が存在します。

        

        f:id:loopin:20160824173343j:plain

このⅣ音Fはトライトーンの一方の音で、サブドミナント特有の淡い不安定感の理由となる音です。これがドミナントコードに進行するとトライトーン(CメジャーキーではFとB)を形成し、強い不安定感、緊張感を感じさせ、最後にトニックの安定感、解決感で一件落着、という事になります。

 

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つまりサブドミナント代理のⅡからドミナントのⅤへ、という進行によってトライトーンが徐々に形成され、同時に5度進行するルート音がトライトーンの形成を強い進行感によって補強する役割を果たします。これをⅡⅤ進行といいます。

 

トライトーンを持つドミナントコードが突然現れるよりも、サブドミナントを前に置くことでよりコード間の繋ぎが滑らかになり、よりトニックへの解決を強く促すことになるわけですね。

 

このⅡⅤ進行はジャズの最大の特徴であり、ジャズをジャズたらしめるアイデンティティーのようですらあります。この進行を覚え演奏できてやっとジャズの醍醐味が味わえるでしょう。

 

これを12のキーで覚えるためには、5度進行の際に説明した5度圏の図が有効です。

 

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Cが時計盤でいう0時にありますね。

これをトニックとすると左隣りのGはドミナントのG7、そのさらに左隣のDはDm7とするとこの部分はCメジャーキーのDm7(Ⅱ)→G7(Ⅴ)というⅡⅤ進行になります。

 

同様に3時の位置にあるE♭をトニックにすると、左隣のB♭、その隣のFはE♭メジャーキーのFm7(Ⅱ)→B♭7(Ⅴ)というⅡⅤ進行です。

 

このようにして12のキーのⅡⅤ進行を割り出すといいでしょう。

 

 

 

 

 

 当ブログの内容や理論面で分からない事、疑問点などがあれば、是非ご質問下さい。

 また音楽理論を本格的に勉強したい方のために理論書を作りましたので、興味のある方は御一考を。

loopin.hatenablog.com

 

 

 

 

"Summertime" コードとスケール分析

この「サマータイム」は1935年、ほぼ黒人役者のみによって上演された画期的なミュージカル「ポーギーとベス」の挿入歌であり、後にジャズという枠を超えて多くの音楽家による名唱・名演を生んだ、まさにスタンダードというにふさわしい曲です。

 

作曲者ジョージ・ガーシュウィンは1937年に亡くなったのでかなり晩年の作品ですね。「バット・ノット・フォー・ミー」や循環進行という形式のコード進行を用いた「アイ・ガット・リズム」(循環進行を英語で「リズム・チェンジ」と呼ぶのはこの曲名から来ています)等、今もセッションで頻繁に演奏される曲を多く書き残した偉大な作曲家です。

 

この曲はコード進行が平易なので、その分独自のリハーモナイズを施した演奏例も多いです。まぁジャズではよくあることですが、この曲は特に定番のコード進行というのがあまりないようで、市販のスコアを見ても結構バラバラです。

 

今回は手元にある、現在日本で売られているスタンダード集の中では最も有名であろう「スタンダード・ジャズ・ハンドブック」(伊藤伸吾編)、いわゆる「青本」にある譜面を参考にさせて頂くとします。

 

             

 

16小節1コーラスでFmキーです。最初の1~4小節は

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トニックマイナーが4小節続きます。これだと動きが無さ過ぎるので

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ⅡⅤ進行を間に挟むこともあります。青本にはFm→FmM7→Fm7→Fm6とルート音から6度まで半音進行するクリシェになっています。これもこの曲の楽想にとてもあう進行だと思います。

 

続いて5~8小節は

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最初のB♭mとD♭MはFmキーのサブドミナントマイナーにあたるコードですが、この2小節だけB♭mキーに転調していると考える事もできます。Fmキーと考えれば

 

        B♭m・・・B♭ドリアン  

        D♭M・・・D♭リディアン

 

B♭mキーと考えれば

 

        B♭m・・・B♭マイナースケール 

        D♭M・・・D♭アイオニアン

 

というふうにスケール選択の幅が増えます。

 

最後の13~16小節はA♭M7というFmの並行調であるA♭Mに移り、ここで一瞬だけ安堵感を感じさせる展開ですね。その後また  GΦ7 C7| Fm | というマイナーの進行で一つのコーラスを終えます。

 

この曲は転調がなく、ほとんどがマイナーのダイアトニックコードのみで構成されている点で「枯葉」と良く似ています。テーマメロディや曲の構成も複雑なものではないので、是非レパートリーに加えてみて下さい。

 

この曲のアドリブフレーズはこちらを参考にしてみて下さい。         

http://loopin.hatenablog.com/entry/2016/07/01/120827

 

 

 

 

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