名演から学ぶ、ジャズアドリブ研究

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"The Days Of Wine And Roses" by Wes Montgomery

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今回はジャズギター最大のカリスマ、ウェス・モンゴメリーの名演を取り上げます。

 

この人の存在はもはや「ジャズギターとは何ぞや?」という問いに対する答えそのものというか、

 

ジャズギターというものを定義付けたといっても過言ではないほどの人物ですね。

 

基本的にウェスの作品は、ジャズ初心者にもうってつけの聞きやすいものが多いです。

 

特に1962年発表の名盤「フルハウス」はモードジャズや新主流派の台頭により、難解かつ抽象的な芸術音楽に進みつつあった当時のジャズ界にあって、ジャズ本来の熱気や大衆性、娯楽性を伝えてくれます。

 

             

 

残された彼の映像を見ても、笑みを絶やさず常にリラックスして演奏しているのが印象的です。確かにすげえいい人そうですよね^^。

 

今回は「フルハウス」の翌1963年に発表された「Boss Guitar」の中から、スタンダード「酒とバラの日々」を分析してみます。

 

個人的にウェスの作品の中で最も好きな一枚。オルガントリオの編成ですが、ここでオルガンを弾いているメル・ラインの演奏に何故か惹かれます。

 

ウェスが地元インディアナポリスで活動していた頃からの盟友ですが、はっきり言って地味な演奏です。しかし私がこの作品から感じる、どこか穏やかで静謐なイメージはジャケット写真や選曲だけでなく、彼のオルガンによるところも多分にあります。

 

 

     

 

 では分析してみましょう。キーはFメジャーです。

 

テーマ部分は3声以上のブロックコードによる演奏。続いてソロに入ります。そして最初の1コーラス目最後に来るⅤ度のドミナント7thコードの音使いを見てみましょう(2:06~2:08)。

 

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キーはFメジャーですが、この音の並びは完全にFマイナースケールですね。

 

F(1度)、A♭(短3度)、D♭(短6度)、E♭(短7度)とFナチュラルマイナースケールに、E(長7度)というハーモニックマイナースケールに存在する音をミックスしています。

 

これら♭のついた音が結果的に、C7というFメジャーのⅤ度にあたるドミナントコードにとってのテンションノートになるというわけです。

 

要はドミナント7thで使われるhmp5(ハーモニックマイナーパーフェクト5thダウン)というスケールに短7度を加えたものですが、当然ウェスはそんなこと知らずに演奏していたでしょう。

 

 次も2コーラス目最後の部分です(2:41~2:46)。

 

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曲の最初に帰る前、Fメジャーダイアトニックコードの Ⅲ→Ⅵ→Ⅱ→Ⅴという循環進行です。

 

この曲におけるウェスの演奏は全般にスケールを上下する水平的なラインが多い中、この部分はコード分解による垂直的なラインになっています。

 

それぞれコードトーンの7度から1度までのアルペジオ(分散和音)、そしてC7では3度のEに向かって、F→D→E♭と上下から挟みこむように半音でアプローチしているのが印象的です。

 

この演奏ではウェスの代名詞となるオクターブ奏法は出て来ませんが、やはり彼の代表的名演の一つといっていいと思います。

 

楽器を問わず、すべての演奏者にコピーをおすすめしたいですね。

 

 

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